【感想】加門七海『呪術講座 入門編』

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その他

この本について

書誌情報

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タイトル呪術講座 入門編
著者加門七海
出版社KADOKAWA
発売日2024年3月1日
ページ数242

あらすじ

NHK文化センターのオンライン配信講座の内容を書籍化。呪術やマジナイについて、式神、言霊、結界など、様々な観点から解説する内容。プロの作法などではなく、民間にあるもの、身近に伝わるものの話題が中心。呪術は効力があり、幽霊や妖怪、神仏は存在する…そうした前提で語られている。
章立ては下記の通り。

第一章 人生の中での呪術の立ち位置を考えてみる
第二章 式神を作る
第三章 言霊と結界
第四章 様々なマジナイ
第五章 文字のマジナイ

感想

基礎的かつ身近な呪術の話題が多い

本の帯に「呪術はリアルに使えます」とありました。もちろん過度な期待を持ったわけではないのですが、そう言われると…という感じで、つい手に取ってしまいました。こうした類の話題は元々好きなので。

本の中で、ノロイについては、「覚悟があるのならやればいい」という話がありました。

「あいつを酷い目に遭わせられるなら、自分も酷い目に遭っていい」という覚悟。

加門七海『呪術講座 入門編』p.52

そこまでの覚悟がある人は滅多にいないと書かれていましたが、そうでしょうか?

私が会社の部署にいるお局様と縁を切りたくて仕方がなかった時は、縁切りで色々と検索していたものです。細かい話は忘れましたが、例えば自分が怪我をして入院する形での縁切りになるなど、自分に悪いことが起きる可能性もあるので、縁切りを願う場合は注意した方が良い、といった内容をちらほらと見かけました。当時の私は、縁が切れるのならなんでも構わないという気持ちでした。

相手を酷い目に遭わせたいと思っているわけではなかったのでまた少し話が違いますが、個人的にはそういう覚悟を持つ人がそう少ないとは思えません。もちろん滅多にいない方が良いのですが、実際はどうなのでしょう。

突然なんの話だ、という感じだったかもしれません。この本の中では、人を害するノロイの話は少ないです。当然、リアルに使えるノロイの話などはありません。なので、そういうものを求める場合には向かない本です。

使えるものとして紹介されているのは、道具がなくても身近な場面で使える、ライフハック的なマジナイです。

また、タイトルに入門編とある通り、基礎的な話題が多いです。私は初めて知ることも多かったので楽しめましたが、こうしたジャンルの本をよく読んでいる方にとっては、既に知っていることばかりかもしれません。

初心者で、呪術の世界について手軽に知りたいという方にはおすすめです。

個人的に印象に残った内容二つ

印象に残った話の一つが、岡山県で行われている「護法祭」。

器となる人に神を憑依させ、その神が現実世界に遊ぶという儀式の行われる祭りです。怖いのは、その神に万が一捕まってしまうと、3年以内に死ぬと言われていること。捕まるのは悪いことをした人だそうですが、自分では悪いことをしていないと確信していたとしても、その場にいたら怖いと思います。

調べると、両山寺では毎年8月14日の夜から開催されているそうで、2023年のニュース記事もありました。コロナ禍などの影響で祭りが途絶えてしまうという報道をよく見かけたので、続いているとわかるとなんとなく嬉しいですね。

もう一つは、結界のページで紹介されていた「一切成就の祓」。祝詞です。

極めて汚きも滞りなければ 穢きはあらじ 内外の玉垣清浄と申す

加門七海『呪術講座 入門編』p.125

どんな汚れがあっても溜めてしまわなければ穢れにはならず、身も心も清浄、と。本の中でも、「美しいですね。」と言われていました。私もそう思います。短くて覚えやすいのも良いです。

これを結界の呪文として用いる場合はイメージをしながら唱えましょうとありました。実はこの祝詞、私は某ゲームで聞いたことがあるのですが、その時は結界を破るために唱えられていたような記憶があって…。定かではありませんが。だからこそ、これは結界を張る方なのか、と印象に残ったというわけです。

印象に残った話が二つとも本筋から離れたものの気がしますが、こういう話も載っているということで。

まとめ

視覚化、映像化というのは呪術ではすごく大事です。これができるかできないかで、結果が大きく変わってきます。

加門七海『呪術講座 入門編』p.87

体を使ったマジナイや文字のマジナイなど色々と紹介されていますが、いずれにしてもイメージする力が重要とありました。どうやら、想像力が欠如している私には向いていなさそうです。よく考えれば、そもそも日常生活で何かしらの気を感じたことすらないほどに鈍感なので、必要がないと言えばないのですが。神社などの敷地に入って、空気が変わったと感じられる人がいますよね。あれ、羨ましいです。

本の中では、著者の加門さんがナニカに追いかけられている気配を感じ、咄嗟に結界を張ったという話が紹介されていました。そうしたものを感じやすい方には、リアルに参考になる内容も多いのではないかと思います。

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