はじめに
犬といえば、人間にとって最も身近な動物と言っても過言ではありません。私もそんな犬が大好きなのですが、ある時ふと思いました。犬に関するしっかりした知識が身に付いていないのではないか?と。
犬について学ぶことは、犬を飼うための必須条件ではありません。ただ、知識があれば問題が起きても対処できる可能性が高くなります。そして犬との関係を今以上に深めることもできるかもしれません。
この記事では、犬について学べる本を4作品紹介します。
1~3冊目は、犬の生態を科学的・行動学的知見から捉えることが主題です。4冊目は飼い方の本ではありますが、具体的なしつけ法などよりも犬に対する考え方の話に重点が置かれています。
犬を飼っている方もそうでない方も、犬への愛を知識として持っておきたい方におすすめです。
おすすめ本4選
1. 犬と会話する方法
ドッグトレーナーで動物行動学者でもある著者が、これまでの訓練経験などを踏まえて、犬の行動はもちろん人間や類人猿などの行動についても語っている本です。後者の行動も見ていくことから犬との共通点や差異を確認していきます。最終的な目標は、犬と人間がどちらも幸せな家庭生活を送れるようになることです。
行動学の内容がメインではありますが、著者の実体験の話も多く、具体化されているので理解しやすいです。犬のしつけについては、甘やかし過ぎることの問題点を指摘しつつも、世話をしたいという欲求を抑えるのは難しいとありました。こういう部分から、机上の空論ではなく実情を踏まえての話が展開されていると思いました。
2. 最新研究で迫る 犬の生態学
動物行動学の教授である著者が、古くから人間のパートナーとなっていた犬について、その行動や生態、歴史まで紹介している本です。刊行は2024年で、この記事で紹介している中では最も新しい本になります。実際に、本の中では2020年代の研究成果についても触れられています。
内容は見開き2ページにまとまっていて、イラストも豊富なので読みやすいです。ただし文章も簡潔なので、得られる情報は最低限とも言えます。犬に関する知識を大まかに知りたいという方にはおすすめですが、より詳しい情報を得たい場合は他の本にあたる必要があります。
具体的な犬の行動、例えば足の上にお尻をのせてきたり、かわいいと言われて振り向いたり…それらが意味する犬の本音についても語られているので、実践面でも参考になる本だと思います。
3. イヌはなぜ愛してくれるのか
動物心理学の教授でイヌ研究の第一人者でもある著者が、イヌの愛情深い性質を中心に、イヌについて研究してきた内容を紹介する本です。
動物が感情を持つか否かという話は、証明が困難であるため、持つと断言する科学者はまだそれほど多くないのではないかと思います。著者も最初はイヌが感情、特に愛の感情を持っていると簡単には言えなかったそうです。しかしながら研究などを積み重ねていく内に、「イヌは人間を愛している」と断言しても良いと語るほどになりました。原著のタイトルは『Dog Is Love』と直球です。
本の中では、著者がその結論に達するまでに行った実験の結果や参考にした研究内容などを紹介しています。原著が刊行された2019年までの情報が含まれています。イヌの行動に関する実験の他に、遺伝子の研究結果の解説など、興味深い内容が充実していると感じました。
4. シーザー・ミランの犬と幸せに暮らす方法55
アメリカの著名なドッグトレーナーである著者が、犬と幸せに暮らすために必要となる基本的な考え方を紹介している本です。飼い主がパック・リーダー(群れの指導者)となり、犬は本来の自然な姿で生活できつつも、リーダーの指示にはしっかりと従えるようになることが理想とされます。
多くの飼い主で問題になるのが、犬を人間のように扱っていること、そして犬に人間の感情をそのまま当てはめることです。まずはそんな犬についての考え方を改め、犬の自然な姿を理解し、飼い主としての態度を学びます。更に個別の問題行動への対処法や人生の転機における接し方、相棒となる犬の選び方などについての話もあるので、犬を迎え入れる前に読んでおくのも良いと思います。
例えば犬が不安や恐怖を感じている時、「大丈夫」と優しく接していませんか?出かける時に、かわいそうだからといつも以上にかわいがってから別れていませんか?こうした振る舞いは良い結果をもたらすどころか、犬の問題行動に繋がる可能性があります。心当たりのある方は、ぜひ一度手に取ってみることをおすすめします。
まとめ
犬について学べる本を4作品紹介しました。
どの作品も、犬を幸せにしたいという思いは共通しています。その思いによってもたらされた知識は、犬と過ごす時間をきっと豊かなものにしてくれると思います。
知識のアップデートを欠かさないようにしながら、楽しい犬ライフを送りましょう!