はじめに
この記事では、それなりに歴史小説を読んできた私が「これは特に面白かった!」と思えた小説を5作品紹介します。
中には初心者向けではない作品も含まれますし、時代などにも偏りがあるものの、とにかくおすすめしたいものだけを選んだ結果となります。
少しでも興味のわく作品があれば、ぜひ!読んでみてくださいね。
おすすめ作品5選
1. 真田太平記 / 池波正太郎
とにかく面白かったという記憶しかありません。
あまりの面白さに、仕事のある平日でも2日間に1冊のペースで読み切りました。
このシリーズの特徴の一つが、オリジナルキャラクターも多く登場する点です。
1巻は佐平次、お江といった重要キャラクターの登場から始まるわけですが、
前情報のない状態だと「誰?」と思われるかもしれません。
私も信繁登場辺りまで少し不安になりながら読んでいたものですが、
最終的にはオリキャラたちにも愛着を持てるようになりました。
前半の山場は第一次上田合戦の3巻。
この辺りからグッと惹き込まれたのを覚えています。
なので、できれば3巻までは読んでほしいです。
また、信之が格好良く描かれているところも好きです。
最後の12巻まで存分に楽しませてもらえる作品です。
大河ドラマ『真田丸』が好きだった方にもおすすめですよ。
2. 楊家将 / 北方謙三
北方謙三さんの中国歴史小説といえば、
『三国志』や、『水滸伝』をはじめとする「大水滸シリーズ」が有名だと思います。
もちろんそれらの作品も超が付くレベルで面白いのですが、
巻数が多くて気軽におすすめしづらいのも事実です。
その点『楊家将』は上下巻でまとまっている上に、
戦闘描写も格好良く、そしてなんといっても楊家の生き様が見事。
クライマックスのシーン、許せませんが大好きです。
初めて読んだ時には、最初の登場人物一覧の多さに身構えたものですが、
実際に読んでみれば特に問題ありませんでした。
時代や人物に馴染みがないからという理由で避けているのであれば、
あまりにももったいないので今すぐ読みましょう。
ちなみに『血涙 新楊家将』という続刊も出ていますが、
話としては楊家将だけでまとまっています。
3. 三国志 / 吉川英治
不朽の名作として今もなお人気の、日本における『三国志』の代表的作品です。
「人形劇三国志」や、横山光輝さんの漫画版「三国志」、光栄の「三國志II」など、
各三国志作品に多大な影響を与えているのも当然と思える完成度の高さと面白さ。
完全に個人的な話ですが、吉川英治さんの作品を初めて読んだのが『平家物語』で、
途中で挫折してしまったので、少し苦手意識を持っていました。
ところがこの三国志はすらすらと読める読める。
これほどの面白い作品が今の時代は青空文庫で読めてしまうのだから驚きです。
お茶を買おうと船を待つ劉備が、黄河を眺めてぼんやりしている冒頭のシーン。
なんとも言えない平和な情景で好きでした。
4. 泣き虫弱虫諸葛孔明 / 酒見賢一
主人公の孔明は変人としてのキャラクターが確立されており、
文章はギャグ、パロディ、時事ネタなどが当然のように盛り込まれています。
真面目な三国志が読みたい方にはおすすめできません。
また、三国志を読む初めての1冊にも向かないと思います。
たまには一味違う三国志を楽しみたい、という方にはピッタリの作品です。
この作品がすごいのは、笑いの方向に振り切りつつも、
随所で正史や演義のネタを紹介してくれている部分です。
しっかりとした知識の裏打ちがあってこそのお遊びなのがわかります。
ただ、流石に終盤はキャラクターも減ってしまい、
序盤ほどのハイテンションさがなくなってしまうのが寂しいところです。
5. 国盗り物語 / 司馬遼太郎
前半と後半、全体を通して面白いのですが、
私が特に好きでおすすめしたいのは前半の道三編です。
牢人の身から油問屋の身代を手中に収めたというだけでも相当なことなのに、
野望はあくまでも天下であり、知謀(悪謀)の限りを尽くし、
ついには美濃国の守護として君臨します。
やはりこの成り上がりのロマンが面白いわけです。
後半の信長編は、信長よりも光秀の登場シーンの方が多いです。
尾張と美濃の和睦から、本能寺の変、山崎の戦いまで、確かな筆致で描かれています。
まとめ
個人的に激推ししたい歴史小説を5作品紹介しました。
今後、ここに挙げた作品に匹敵するレベルで面白いものに出会えた場合は、記事を更新するつもりです。読んでいない作品はまだまだ膨大に存在しているはずなので、新たな出会いを楽しみに、日々読書していきたいと思います。